11月15,16日開催の感染症会議で、ソーシャルマーケティングに基づく感染対策行動の調査結果を報告しました。 (写真は、日経電子版に掲載されたもの)。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE120NH0S2A111C2000000/
約3年間にわたる感染予防関連行動について、市民が「納得感をもって行動しているのか」、「納得感を高めるため」に、どのようなメッセージを誰から発信し、どのようなしくみを構築するべきなのかについて、調査・分析を行った結果です。
様々な分析を行ったのですが、以下が大切な知見です。
①行動に対する納得感を高めることが、自発的な行動の継続につながる。 過去のワクチン接種への納得感が高い方が、次回の種意向が高いという関係性が統計学的有意に示されました。
②納得感を高めるには、促したい行動によりメッセージ、発信者、施策をテーラーメイドする必要性がある。 一例を挙げると、メッセージ発信者について、以下の方々が発信することが納得感につながることが示されました。 ●自主的な感染行動の場合は、感染症の専門家 ●ワクチン接種行動の場合は、専門家に加え、自治体の首長、企業のトップなど組織の上位者 ●外部からの行動制限の場合は、感染症の専門家 ●体制整備不足の場合は、政治家、厚生労働省 また、全てにおいて、「家族や友人」の影響があることも示されました。
パンデミックのステージが進むと、人々がそれぞれの価値観や置かれている状況によって考え方が多様化し、メッセージが届きにくくなったり、行動変容につながりにくくなります。
その状況下で、それぞれが納得して自発的な行動変容を促すためには、適切にセグメント化を行い、その人々の声に耳を傾けて深層心理を理解し、学際的な行動科学理論と、新たな価値を含めて、施策、プロモーションを創ることが大切であることが示唆されました。 すなわち、ソーシャルマーケティングに基づく施策策定の重要性が感染予防関連行動で示されました。
ソーシャルマーケティング分野で研究を続けてきて、微力ながら感染対策の一助になれたことに、有難く思うとともに、さらに貢献できるように研究により一層向き合おうと思いました(^ ^)
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